誰かが隣にいてくれる

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「ちゃんと野菜も食べなさい」 「すき焼きだよ!? 肉食べないで、何食べるのさ」 「じゃあ、なんで野菜も買って来たんだ」 「それは、洋介先生の分」 「ちゃんと野菜も食べなさい!」  食卓の蓮は、よく笑った。  こんなに屈託なく笑う彼を見るのは、初めてではないだろうか。  やがてすき焼きは終わり、部屋中に甘い匂いが充満した。 「ああ、ヤだ! 髪がすき焼き臭い!」 「そのまま風呂に入りなさい。後片付けはやっておくから」  蓮は、探るような眼を向けた。 「俺がお風呂に入ってる間に、帰るつもり?」 「帰ったらだめなのか」  ダメじゃないけど~、と歌うように言った後、顔を背けて呟いた。 「お風呂使っても、いいよ」
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