誰かが隣にいてくれる

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 この日を境に、蓮は時々学校を訪れるようになった。  授業には出たり出なかったりだったが、劇的な変化だ。  クラスメイトと会話をする事もあり、笑顔も見られた。  成瀬は、喜んでいた。  自分の手柄だ、などと考えた事もない。  この少年が、自分の力で孤独を乗り越えようとしているのだ、と思っていた。 「洋介先生、おはよう」 「おはよう、八神。今日は早いな」 「先生の授業、一限目じゃん」  こんな事まで言ってくれる。  私の授業を受けに、登校してくれるとは。  頑張って指導してきた甲斐があった、と感じていた。  ところがその日、事件が起きた。
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