誰かが隣にいてくれる

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 蓮のマンションに着いた成瀬は、オートロックドアの向こうにこの非行少年が入るまで、腰に手を当てて見張っていた。  エントランスで振り向き、あっかんべぇをする蓮。 (私がいなくなったら、また夜遊びに出るつもりだな)  そうはいくか、と成瀬は急いでメモにペンを走らせ、ガラスのドアにそれを叩きつけた。 『朝までここで見張ってるからな!』  途端に、口をとがらせる蓮だ。  成瀬が朝までマンションの前で頑張っていた事は、これまで数回ある。  彼の本気を、蓮は知っているのだ。  勝ち誇ったような顔の成瀬にため息をつくと、蓮はもう一度表に出てきた。 「洋介先生、どうせなら泊まっていけば?」 「馬鹿言うな。教師が生徒の家に泊まるなんて」 「外で朝まで見張るの、寒いだろ」  いいから来て、と蓮は成瀬の手を引き、どんどん奥へと連れて行った。
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