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蓮の部屋には、誰もいなかった。
成瀬も、その状態を承知していた。
彼は父親と二人きりの家族で、その父も外に囲った女性の元で過ごす事がほとんどなのだ。
あの子には、手を焼きますよ。
そんな風に、前担任の教師から釘を刺されていた。
全くその通りだった。
深夜徘徊、援助交際、喫煙に飲酒。
ありとあらゆる非行を重ねる、蓮。
だが、成瀬にはその眼が気になった。
悪に染まっている、というより、寂しげな眼差し。
誰かが手を差し伸べるのを待っているのではないか。
そんな風に思わせる眼をしていた。
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