誰かが隣にいてくれる

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 ようやく、この少年の仮面の下の素顔を見せてもらった気がした。  やはり寂しいんだな、八神。  毎日、独り。  家でも、学校でも、街に出ても、独り。  たとえ行きずりの男と寝ようと、その心の中はやはり独りぼっちなのだろう。 「八神、とにかく今夜はもう寝なさい。先生、泊まってやるから」 「本当?」 「ああ」 「ね、洋介先生。酔っぱらってるけど、勃つ? ちゃんと使い物になる?」 「馬鹿ッ! そんな意味じゃない!」  けらけらと笑いながら、蓮はバスルームへ消えた。  やがてシャワーの水音が聞こえてきて、成瀬は安堵の息をついた。
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