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日本に小隕石が落下した。 だが、その被害規模や場所などは広く知られる事は無かった。 大がかりなニュースとして扱われなかった、というのが主要因だ。 新聞テレビに雑誌、ウェブニュースやSNSに至るまで、その都度のゴシップやスキャンダル騒ぎに終始した。 宇宙からの飛来物を気にかける者など、ほとんど居なかったのである。 ある日、何の脈絡も無く奇病が大流行した。 原因は不明。 感染ルートや治療法も同様。 分かっていることと言えば、突然に脳の血管が破裂し、血の涙を流しながら死ぬという結末だけだ。 「この病気はなんなんだ!」 「誰かなんとかして!」 「クソぉ! どうしてオレがこんな目に遭わなきゃならないんだ!」 各地でそんな声が満ち溢れた。 そして、大勢が死を迎えた。 生存者たちは恐怖に駆られてしまい、自宅に閉じ籠ることによって難を逃れようとする。 それで一時(いっとき)は被害を食い止めることに成功したが、その後もジリジリと死者は増え続けた。 人類は早急なる対応を迫られ、世界中の科学者や医者を総動員しての研究が進められた。 原因は何だ。 大気汚染、水質汚濁、あるいは強力な電磁波攻撃や磁場の湾曲か。 不眠不休で分析しようとするも、その手がかりすら見つけられなかった。 やがて精神科医や生物学者に物理学者までを投入し、どうにかして光明を見いだそうとした。 ……だが、虚しい結果に終わる。 人類がこれまで蓄積してきた知識では、最早太刀打ちできる物ではなかったのだ。 取り分け大きな謎は2つ。 ひとつは、何が病の原因なのか。 そしてもうひとつは、何故日本人だけが患らうのか、という点だ。 数多くの人類が住まうこの地球上で、極東の日本列島のみで蔓延していたのだ。 更に言えば現地に暮らす外国人は無事、せいぜいが風邪程度で済むという事実が、混迷に拍車をかけた。 なぜ、どうして。 究明に携わったもの皆が頭を抱えた。 そして業を煮やした日本政府は、非常事態宣言を発動。 超法規的な手段の元、この奇怪極まる病に立ち向かおうとした。 その甲斐あって、どうにかひとつの事実を突き止める事ができた。 発病条件は話言葉。 更に言うと『か行』を口で発すると、たちまち死に至る。 そんな前代未聞の公式見解が、文書によって国民に広く知らしめられる事となった。
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