友達以上恋人未満

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友達以上恋人未満

「はぁ~」 吐く息は白く、空気を吸い込むと肺をひんやりとさせる。 「寒いね~」 そう隣で同じように、白い息を吐きながら彼女は、両手で手袋をぽふぽふとしている。 もし、恋人同士であれば、そんな彼女と手を繋いで温め合うのだろう。けれど、幼稚園の頃からずっと一緒で、隣に居る事が当たり前の様に育ってきた幼なじみの彼女にとって「友達以上恋人未満」の存在に違いない。 そして、俺自信もこの「友達以上恋人未満」という檻から出られないまま、今現在に至っているわけだけれど…出られないではなく出る勇気がないのだ。彼女に「好きだ」と伝えてフラれる事に、怯えている。この気持ちを伝えなければ、こうしてずっと彼女の隣に並んで歩けると。 「わぁ~」 彼女の声で我に返った俺は彼女を見つめると 「雪だよ、雪!!」 と、彼女はさっきまで「寒い」と言っていたのが嘘のようにはしゃぎ始めた。 「はぁ…ガキかよ…」 彼女を見ながらつい、彼女を傷付けるような発言をしてしまう。 勿論、そんな俺の言葉を彼女が聞き逃す訳もなく 「なによーガキに決まってるじゃない。まだ10代なんだから」 と、頬をリスの様に、プクッーと膨らませながら言い返してくる。あぁ、本当に可愛い奴だな、と油断してしまうと口走ってしまいそうになる言葉を必死に飲み込む 「ねぇ、人の話聞いてる?」 「っ!?」 彼女は、そう良いながら顔を近付けてくる。まったくこっちがどんな思いで、お前の事を思っているのか、全く気にしていないに違いない。 気付かれない様に「聞いてるだろ」そう言い返すのがやっとだった。 「ふぅ~ん…。てかさ、幼稚園の頃は、雪が降ると一緒にはしゃいで遊んでたのに、今じゃ一人だけ大人ぶっちゃって、そういう所、私嫌いだよ」 彼女は俺が雪ではしゃがない事が、余程お気に召さないらしい。 怒っている筈なのに、可愛くしか見えない彼女の態度に愛しさが込み上げてくる 「お前は嫌いかも知れないけど…俺は雪で子供みたいにはしゃぐ所も含めて、好きだけどな」
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