第九十一話

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第九十一話

 ショップからの帰り道、手に入れたばかりのスマホですぐそばにあった電柱を撮って柳人に送信したら、その翌日には同じくスマホを契約した彼から大きく膨らんだお腹を真上から撮影した写真が送られてきてニンマリした。  何度表示させたか分からないその写真を見ながらキャンパスを歩いていると、向かいからやってきた生徒にぶつかりそうになり「すみませんっ」と叫んだ陽平はぺこぺこお辞儀した。高校進学し初めて親に携帯電話を買ってもらった時ほどの興奮はないが、最先端テクノロジーはこれまでの暮らしをガラリと変えて、みんなこんなに便利なものを使っていたのかと驚いた。今まで手をつけていなかったSNSにも参加しようと思い、その道の達人である秀吾にメールを送ったらすぐに食堂へ呼び出され、手取り足取り教えて貰う代わりに昼食とデザートを奢ったのだった。  『ら◯ん?それなら春ちゃんが入れてくれた』  秀吾の指導でメッセージアプリを入れたことを柳人にメールすると、春に色々設定してもらったそうですぐにIDを教えてくれた。けれどもSNSを始めたことがあっという間に知れ渡ったせいで、ひっきりなしに通知が来るので彼からのメッセージを見逃してしまうこともあり、困った陽平は今朝の講義で隣に座っていた男子生徒に特定の通知だけを受け取る方法を教えてもらった(そういった機能があることすら知らなかったのである)。
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