白いクレヨン

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 家に帰ってからお母さんやお父さんに話そうかと思ったけど、知らない人についていくなとか、気軽に話すなと言われていたので、たとえあれが防ぎようのない事故だったとしても罪悪感を感じて話すことが出来なかった。  翌朝、お父さんが新聞を読みながら呟くようにお母さんに話しかけた。 「この近所で殺人事件があったらしいぞ。被害者は、口に白いクレヨンを詰め込まれてたって。狂気的だなぁ」 「いやだぁ、怖いわねぇ」  お母さんは口調では怖そうにしながらも、朝食を作る手を休めることはなかった。 「ねぇ、白いクレヨンが口の中にはいってたの?」  気になってお父さんに聞いたけど、私を見てハッとしたお父さんは口を噤んでしまった。 「子供は知らなくていいんだ。いいか、美代子。誰かに話しかけられたり、お菓子あげるとか言われても、絶対についてっちゃダメだぞ」 「うん……」
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