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学校に行っても、近所で起きた殺人事件の話で持ちきりだった。緊急集会が開かれ、校長先生もお父さんと同じような注意をし、犯人が捕まるまでは下校は学年ではなく、分団ですることになった。
小学6年の副分団長の梓ちゃんが家の前まで毎日送ってくれるので、私はひとりきりで帰り道を歩くことはなくなった。
ある日の図工の時間。クレヨンでお絵かきすることになった。
「あれ、どうして白いクレヨンがないの?」
隣の一馬くんに聞かれ、ビクッと震える。
「それ、は……」
「せんせー! みよちゃんの白いクレヨンがありませーん」
クラス中がザワザワする。
「おまえ、あのじけんのはんにんじゃねーのか?」
「しろいクレヨン、くちにつっこんだんだろ!」
意地悪な男の子たちの声に、「そんなわけないじゃん!」と、気の強い女の子が庇ってくれた。
みんなの視線が、痛い。
また、声が出なくなった。
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