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私のクレヨンには名前が書かれていた。
もちろん、あの白いクレヨンにも。
もしあの白い女の人が、わたしの白いクレヨンをころしたひとの口にいれてたら……
そう考えると怖くて、夜も寝られなかった。
いつおまわりさんが、わたしのいえにくるんだろう。
つかまって、ろーやにいれられちゃうのかな。
おとうさんとおかあさんに、もうあえなくなるのかな……
そんな恐怖に怯えて過ごした。
何をしても、あの女の人のことを思い出してしまう。
どうして白いクレヨンを渡してしまったのかと、後悔した。
けれど、あの日以来白い女の人と会うことはなく、警察が家に事情を聞きに来ることも、犯人が捕まることもなかった。
そのうちに分団下校は解除されて学年下校となり、誰もあの事件について話をすることはなくなった。
私の白いクレヨンは、なくなったままだった。
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