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やがて一週間ぶりに孫娘の手料理を満足するまで平らげ、腹が落ち着くのも待たずに、
「さあ、整備の続きをするかの……」
と、立ち上がる神童寺博士に、真奈美がこんな言葉を投げかけた。
「ところでさ、聞きたいことがあるんだけど……」
「なんじゃ?」
「このロボット」
「ムラカミカドーじゃ」
「……そのムラカミさん、おじいちゃんが操縦するの?」
「何でじゃ?」
「だって、この工場、おじいちゃんしかいないじゃん」
そうなのだ。この広い地下工場は、全ての設備が自動で働き、手作業が必要な場所もロボットが行なうものであった。対照的に、ムラカミカドーをはじめとした巨神は全て有人操縦の機体ばかりである。
「パイロットの件は安心せい」
「もう、誰か決まっているの?」
その後に口走った博士の答えは、興味を覚えた真奈美を呆れさせるのに充分だった。
「……[奴等]が攻めてくると同時に、この工場に入るための[秘密の入り口]が自動的に開く。そこに[偶然にも熱血少年が入り込み]、ムラカミカドーを起動させるのじゃ!」
「…………おじいちゃん?」
「え?……[ロボットアニメ]の定番じゃろ?
まぁ、そうでなくとも、[奴等]が本格的に攻めてきたら、国連も流石に儂のところに泣きついてくるじゃろから、その時は、仕方がないから派遣されたパイロットを鍛えて操縦させるさ……」
「じゃあ、試運転とか、どうしていたの?」
「そんなモン、ぶっつけ本番に決まっておるわい!」
「……じゃあ、完成させてから一度も動かしていない?」
「そうじゃが、それがどうかしたか?」
「…………」
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