それでも私は待っている

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 二人は今、町のシンボルである30メートルの観音像、その後頭部が傍に見える展望台に来ていた。周囲を見渡せば、カエルの親子に似た自然の岩が鎮座している。  祖父はと云えば、唯ひたすら遠い目で天を見上げていた。 「……真奈美」 「…………何?」 「この広大な宇宙には、沢山の星々が存在している」 「……うん」 「その中には、当然、この地球よりも進んだ文明を持つ星だってある」 「よくわからないけど、いっぱい星があるならそういうことも……」  [真実を知らされる]と思っていた真奈美は、いきなり寒空の下に連れ出された挙句によくわからない壮大な話をし始めた祖父の姿にキョトンとしつつ、言葉の続きを待つ。 「その文明の中に悪意あるものがおり、地球侵略のために侵攻してくる日が必ず訪れる!  儂は、そんな時に備えてムラカミカドーを完成させたのじゃ……」  自分の言葉に酔いしれる神童寺博士に、真奈美は、 「……だから、その[迫り来る侵略者]って、どんな奴等なの?」  その直球質問に、祖父はただ一言……
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