誕生、地球防衛隊!

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 宇宙の都とも読める県庁所在――  その西側、市街街から程良く離れた[石の町]に、その施設はあった。  とは云え、それは見てわかる場所ではなかった。  戦後、江戸時代の怪獣を封じ込めるために建立された30メートル観音像の程近く、今は資料館としても公開されている地下採石場に、地球防衛施設として建設された、〈地球防衛隊〉の基地は、この日もひっそりと、誰にも気付かれることなく、静かに地球の危機に備えていた。  しかし、ひとつ問題があった。  それは、この組織、施設、設備は全て個人所有であり、要するに、国連、国家、県、市町村など、あらゆる公共団体に属さない、非公認私的組織であると云うことだ。  天才科学者、神童寺博士の提言を、(くど)いようだが国連、国家、都道府県に市町村などの公共はおろか、世界企業、大財閥をはじめとした財界どころか、中小企業、個人経営の町工場に至るまで、誰一人相手にすることはなかった。  ここに来て、神童寺博士のあることが裏目に出たのだ。  それは……
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