春の日の踏切で

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 落ちこんでなんていられない。  なんと、目的地まで踏切はあと二つもあるのだ!  私は気を取り直して、ぽかぽかと日の当たる緩やかな坂道をゆっくりと下った。 「どうしたの?疲れた?」  すると、彼が突然振り向いた。 「う、ううん!全然!」  彼に気を遣わせてしまったことを激しく後悔しながら、私は背後の遮断機を睨み付けてやりたい衝動に駆られていた。  もちろん、乙女はそんなことはしない。  そして、勝負をかけていた二つ目の踏切はフルオープン、フリーパス。 「ヘイ!ウェルカム!」と旅行客を歓迎する大袈裟な海外のスタッフが両手を大きく広げるがごとく、開いていた。  そりゃそうか、踏切だって電車が通らなきゃ閉まってはいない。  当たり前のパターンを全く想定していなかった自分の愚かしさが、やたらとこっ恥ずかしい。  そんな自分を省みて思う。  彼は、こんな私のどこを受け入れてくれたんだろう。
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