春の日の踏切で

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 大学生になったばかりの彼は、ついこの前まで高校の先輩だった。  たいそうモテる人(※私調べ)で、彼をかっこいいと言っている人はたくさんいた(※私調査)。  きっと彼のことを本気で好きだった人も、私以外にいるだろう。  それでも彼に彼女がいないということを知り、彼の受験が終わるのを待って、私は告白した。  人生最大の難関だった高校受験より、はるかに緊張した。  いつ思い出しても、顔が赤くなる。  それでも、私の想いは真剣だったし、どうしても彼にそれを知っていて欲しかったんだ。  ──そして、今に至る。  そうだ。  あの時のことを思えば、手を繋ぐぐらいなんてことはない。  イケるぞ、私。
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