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訓練場に戻るとほとんどの生徒が俺がやったのと同じ検査みたいなのを終わらせてそれぞれ自由に魔術の練習とかをしていた。
「当然なんだろうけど、みんな普通に魔術使ってるね。」
何故か返事が無かったから隣を見てみると、フィールさんがキョトンとした顔をしていた。
「あれ?俺なんか変な事言っちゃった?」
「あ、ごめんなさい。こう言う事を言うのはあれですけど…今みんなが使っているような魔術は初等部の人でも使える基礎魔術で、Eクラスの人にとっては呼吸するくらい出来て当然の事なんです。」
なるほど。普通の学校で体育の自由時間にそれぞれサッカーしたりバスケしてたりするようなもんなのか。
それを珍しそうに見てたもんだから反応に困ったんだ。
「でも、特別な人もいるんですよ。」
「特別?」
答えが無くてもすぐ分かった。好き勝手動いていた生徒が1人の女の子に注目していたから。
「あの子は?」
「ナル=グライツさん。Eクラスの中でも飛び抜けて成績がいいの。」
「へぇ…」
優等生の中の優等生か。天才はどこにでもいるんだなぁ。
「グランツで最後か。説明はいらないな?」
「はい。」
金髪で短めの髪、背は俺より少し低いくらいか。赤い瞳が俺を見たような気がするけど、気のせいだろうな。
「起動、起動、起動。」
立て続けに火、風、雷の紙に触れながら魔術を発動させた。
「3つやったぞ?得意属性が3つもあんの?凄いなあの人。」
「高杉君が言っても嫌味にしか聞こえないからあまり言わない方がいいですよ…」
フィールさんと同じように俺とグライツさんとやらを比べる人が結構いたみたいだ。ちらほらと『あれを見せられた後じゃなぁ…』みたいな事が聞こえてくる。
「どの属性も安定して発動しているな。光と闇は試さなくていいのか?」
「えぇ。出来ない事をするのは魔力の無駄ですから。」
そう言った後、今度は間違いなく俺を睨んだ。
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