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授業終了まであと5分程あるな。各自それぞれ自由にしてくれて構わない。」
「自由、か。あのさフィールさん、良かったら魔術の使い方少し教えてくれないかな?」
「私で良ければいいですよ。」
フィールさんマジ天使。とか思ってたら、さっきの女の子がおもむろに近付いて来た。
「少しいいかしら?」
「いや、ちょっと忙しいんで。」
腕を組みながら見下したような目線と口調で言われたもんだから思わず断ってしまった。
「あなた、Eクラスにいるからにはそれなりの魔術師でいてもらわないと私達他の生徒の評価まで下がるの。分かります?」
「だからフィールさんに今からそれを教えてもらうから忙しいんですって。」
「フィール…?あぁ、あの。その方程度の生徒に教わって何か変わるとは思えませんわ。そういう場合は先生に聞くのが普通じゃなくて?」
まただよ。『あの』ってなんだよ。
それよりフィールさん程度ってなんだよ?
「あんたがどんだけ凄いのか知らんけども、人の悪口言うような奴の言う事なんか俺の耳に入らんのですわ。」
「高杉君、落ち着いて?」
「しかもあんた、3つやらなかったな?水と光と闇。無駄だって?無駄の積み重ねが今を作ってるって事も理解してないのかよ?」
「無駄は無駄。それの積み重ねが何を作っていると?」
「魔術だって使えるようになるまでにそれを研究してた人達は無駄な事って言われてたはずだ。機械を作ってる人達だってなんだって、最初は全部無駄なんだよ。確かに無駄なままで終わる事も沢山あっただろうけど、全部が無駄だったわけじゃない。」
「だからなんです?ハッキリ言ったらどうなのかしら?」
「お前は人の上には行けないって事だよ。せいぜい今の場所でも守ってろ。」
「高杉君!」
うわ、やべ。やっちゃったろこれは…
「今の場所?私は今でもこのクラスでは誰より上にいますわ!」
「はいはい、分かったよ。分かったからもういいだろ?」
「あなたは!」
まだ何か言おうとしたところで授業終了の鐘が鳴った。
「んじゃ、俺ら教室に戻るんで。行こう、フィールさん。」
「あ、あの…」
戸惑うフィールさんの手を引いて無理やり訓練場から離れた。
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