最弱=最強

ナル=グライツ

クオン先生から中途半端な魔術を教わったあと、魔術で体を動かしてなんとか家へと帰った。

そこで分かったんだけど、あの魔術を使いながら普通に動くのはかなり難しかった。

発動している時は普通に動こうとすれば最初に動いた時みたいに物凄い速度で動いてしまう。

そもそもなんで魔力操作なんかほとんど出来ない俺が体内の魔力は動かせたのか気になって帰る前に聞いてみたところ、体を動かしている電気信号と同じように無意識に魔力も動かしているという事だった。

その無意識の魔力操作にブーストが掛かった状態があれだから、普通に歩こうとすればアリを掴むように慎重に動かないといけなかった。

そして問題は次の日、つまり今日の朝になって更に襲ってきた。

「いだだだだだ！！！！」

先生の言っていたとんでもない筋肉痛ってやつが朝になって俺の体を支配した。

常に電流を流されているような激痛が常に全身を駆け巡る。

学校なんか行ける気がしないし、そもそも動けないし動きたくない。

それでもまさか転入2日目からサボるわけにもいかず、ブーストを掛けて体を動かしながら学園へと向かった。

痛みという感覚が無いと困った事になるとかテレビで見た事がある気がするけど、本当にそうだと思う。

多分マジックブーストの効果には痛みを感じなくする効果まである。だから発動中は痛みを感じずに動けるんだけと、それはつまり発動中はどれだけ体が壊れようが気付けないって事だ。

そうじゃないと一瞬動いただけで筋肉が切れる痛みで何も出来ないんだろうけど…なんとも言えない魔術だ。