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それを見て、持っていたテレビのリモコンを思わず落とし、それが私の右足甲に当たった。
「痛っ!」
少し赤くなった右足甲をさすっていると、外の方から発される飛行機のエンジン音が大きくなっては静かになり、それが何度も何度も長く繰り返された。戦闘機パイロットである以上何かと機密の多い夫の仕事であるが、その初めて耳にする長く続く音に私は確信した。太平洋上での怪獣の出現と茨城県への上陸が決定的である上に、長く続いた飛行機=戦闘機の発進音……これは待機している全部隊の出動を意味する『ホットスクランブル』であるという事を。
すぐに私はベランダの戸を開けると、外を見た。遠くに見える基地から発進していった戦闘機部隊の姿は、もう見えなくなっていた。
そのまま空を見続けているとテレビの方から、少し慌てた様子の女性の声が聞こえてきた。私はテレビの方に目を向けた。
「只今入ってきたニュースです。茨城県沖の太平洋上に出現した巨大怪獣が、先程鹿嶋市の海岸に上陸しました。現地に設置されたカメラからの映像です」
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