妻の物語

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 上空を飛ぶ複数の戦闘機からレーザーが発射され、それらの光る線が巨大怪獣の頭部及び上半身に命中していた。テレビを見ている限り戦闘機部隊は巨大怪獣の頭部を狙っているらしく、まず目潰しをしようとしているのではないかと私は思った。  戦闘機部隊の第3波の攻撃が行われようとしたまさにその時、巨大怪獣の大きく裂けた口から突如としてオレンジ色の太い熱線らしき光線が放たれた。その瞬間を見た私は、思わず息を呑んだ。その熱線が上空にいた戦闘機部隊の中の2機に命中し、呆気なく爆発してしまった。  戦闘機が爆発した……しかも2機……事の重大さ、いや、それでも表現し足りない程の事実に気付いたのは、撃墜される瞬間を見てしばらく経ってからであった。まさか……いや、そんなはずは無い……夫の同僚はこう言っていた。戦闘機パイロットの育成課程で同期だったんだが、彼は常にトップの成績だった。その時の課程担当で青鬼と恐れられてた教官も「彼は必ずアジア太平洋軍で一番のパイロットに成長する」と自慢げな始末でさ、と……。
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