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……?あれ、詩祺の反応がない。
「おーい、詩祺?どうしたん――」
……、顔が真っ赤だ。見たことのない詩祺の顔だった。照れてるな、これは。
「うぅ……」
「あはっ、詩祺が照れてる!珍しいな~!その顔もっとよく見せろ見せろ~!」
おかしくてつい、少し意地悪をしてしまう。俺はずいっと顔を詩祺に近づけた。
「てっ、照れてなんかない……!ただ、初めて言われたから、その、」
詩祺の声がどんどん小さくなってゆく。
「……素直じゃない弟だな~!照れてるくせに!」
「お、弟じゃない!俺の方がお兄ちゃんだし!」
負けじと詩祺が噛みついてきた。
「ふーん、お兄ちゃんなら、朝ちゃんと一人で起きれるようになるんだな!」
「うっ……」
詩祺は言い返せないようで、言葉に詰まっているようだった。
「あはは、いいよ。俺がちゃんと起こすからさ!」
そう言うと、詩祺はむうっと頬を膨らませた。
「それはありがたいけど、ふふっ」
ひとしきり笑ったあと、詩祺が口を開いた。
「シキ、今日は俺と一緒に寝よう?」
「いいよ。……別に今日だけじゃなくても、詩祺の好きなようにするといいよ」
……夢のような日々は一瞬のように過ぎ去って。
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