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拾う……? 俺を? ……咄嗟にどうして、と口を突いてしまった。
『……俺に口ごたえするのか、人間』
彼は妖しくニタリ、と笑って。
――殺気。彼と視線がぶつかり合う。……彼から目が離せない。意識が彼に吸い込まれていくようで、体が動かせないような。いや、体が動かない。……指先一つ動かせない――!
……これは、術?
昔は村にも呪術師がいたらしい。けど、そんなものはもう無いと思っていた。
「……あ」
掠れた声が出た。声も、出せない。サッと血の気が引いていて、嫌な汗が噴き出してきた。……違う。これは、人じゃない。
……もっと別の『何か』だ。
怯えた様子のシキを見て、彼は続ける。
「なあ、お前。この山の話、知ってるだろ。化け物が出るとか、出ないとか」
彼は目を細めて、シキの反応を伺うように言った。
……知っている。この山は曰く付きの山らしい。化け物が出るとか、出ないとか。ここには化け物が住み着いていたが、呪術師が封じたという伝承が残っている。もうずっとずっと昔の話だけれど、村の掟で普段は誰もこの山に入ろうとしなかった。
……入る時は、生贄を出す年だけだった。
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