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俺が詩祺の住処に来てから、約一週間が経っていた。詩祺の住処は普通の小屋、だった。まさか山の中に開けた土地があるとは。その中にぽつん、と詩祺の住処は佇んでいた。
広さは二人で暮らすには少し窮屈だったけれど、物という物がほとんどなく不自由はなかった。殺風景な部屋だ。寝床と椅子、机、調理場があるくらいで簡素な造りだった。
……問題は、
「詩祺! 起きろ! もう日が昇ってる時間だぞ!」
ここに来て一週間、毎朝なかなか起きない詩祺を起こすのが日課になっていた。本人曰く、半妖は夜行性なんだよ……。とのこと。そして当の本人は、眠気眼を擦りながら
「シキ、俺の着替えどこ……」
などと呑気に言っている。……まさかこいつ、俺を世話役にするためにここに連れて来たんじゃないだろうな……?
「ほら! 昨日、枕元に置いたじゃないか! さっさと着替えて! 洗濯するから!」
朝から声を張り上げっぱなしで、既に疲れが出てきている。……まあ、昔から家で過ごすことが多かったから、炊事洗濯掃除は慣れているし別にいいけど。
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