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その後、勧められるままにさまざまな占い屋を巡りました。
しかしどの占い屋でも、彼女はこれから三か月間、幸せになれるとのこと。
占い師達も笑顔で宣言します。
だから『あたし』も信じることにしました。
占い師達が彼女のことを占う時に、一瞬…表情を変えることも、あまりに良過ぎる運命にビックリしたのだろうと、考えることにしました。
お小遣いをスッカラカンにして、『あたし』達はビルを出ました。
彼女はそれでも幸せそうな表情を浮かべています。
「何だかアタシ、生きていくのが楽しくなった!」
「そう、良かったわね」
『あたし』はこう答えるしかありません。
これ以上何か言えば、平凡だと言われた『あたし』のひがみにしか聞こえないだろうと思ったからです。
それからのことは、まるで光陰矢のごとく過ぎていきました。
それからの三か月間、本当に彼女には幸せに満ち溢れていました。
まずは住居。今まで彼女はアパート暮らしをしていました。
しかし父親が親戚から新築の一戸建てを譲り受け、そこへ引っ越すことになりました。
そして父親は会社で昇進し、母親は妊娠しました。
歳の離れた弟妹ができることに、彼女は照れながらも嬉しそうでした。
その後、彼女はテストでヤマが当たり、良い点数を取れるようになりました。
クジや懸賞にも良く当たるようになり、片思いの先輩から告白されました。
幸せが続いたおかげで、彼女は見る見るうちに綺麗になっていきます。
その様子を見ると、『あたし』まで幸せな気分になれます。
―そう、占い師達が告げた三か月間だけは―
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