占いをしてもらった女の子達

4/6
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
その後、勧められるままにさまざまな占い屋を巡りました。 しかしどの占い屋でも、彼女はこれから三か月間、幸せになれるとのこと。 占い師達も笑顔で宣言します。 だから『あたし』も信じることにしました。 占い師達が彼女のことを占う時に、一瞬…表情を変えることも、あまりに良過ぎる運命にビックリしたのだろうと、考えることにしました。 お小遣いをスッカラカンにして、『あたし』達はビルを出ました。 彼女はそれでも幸せそうな表情を浮かべています。 「何だかアタシ、生きていくのが楽しくなった!」 「そう、良かったわね」 『あたし』はこう答えるしかありません。 これ以上何か言えば、平凡だと言われた『あたし』のひがみにしか聞こえないだろうと思ったからです。 それからのことは、まるで光陰矢のごとく過ぎていきました。 それからの三か月間、本当に彼女には幸せに満ち溢れていました。 まずは住居。今まで彼女はアパート暮らしをしていました。 しかし父親が親戚から新築の一戸建てを譲り受け、そこへ引っ越すことになりました。 そして父親は会社で昇進し、母親は妊娠しました。 歳の離れた弟妹ができることに、彼女は照れながらも嬉しそうでした。 その後、彼女はテストでヤマが当たり、良い点数を取れるようになりました。 クジや懸賞にも良く当たるようになり、片思いの先輩から告白されました。 幸せが続いたおかげで、彼女は見る見るうちに綺麗になっていきます。 その様子を見ると、『あたし』まで幸せな気分になれます。 ―そう、占い師達が告げた三か月間だけは―
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!