蒼依の霊感体質

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「……ん…」 目を覚ますと、辺りが真っ白。それに蛍光灯も見える。なに?ここ。確か俺…殺されたんじゃ……。体をゆっくり起こす。少し痛みが走ったが、気にしなかった。周りを見渡すと病室だった。何で…病院に…?すると、病室のドアがノックされた。誰だろう?ノックの後、すぐにドアが開いた。 「……っ!兄ちゃんっ!」 蒼依だった。蒼依は慌てて俺の元に近寄ってきた。 「よかった…よかった…無事で……」 蒼依は俺が大丈夫そうに見えて安心したのか、ボロボロ泣きたした。俺はそんな蒼依の頭を優しく撫でる。 「ごめんな、不安にさせて。でも…俺、刺されて死んだはずじゃ……」 「刺された後に緊急手術したんだよ。まだその時は生きてて、下手したら死んじゃうところだった。」 「そっか…そうだったんだ。」 「もう少ししたら、母さんも来るから。」 「うん。分かった。ありがとな。」 俺は蒼依の頭を撫でながらそう言った。しばらくして、母さんが来た。 「……っ、時雨…無事だったのね……」 「母さん。うん…ごめん。」 「何謝ってんの、あなたが謝る必要なんてないのよ。よかった、無事で。」 母さんも涙目になっていた。 「蒼依がもう少し遅くに救急車を呼んでいたら、死んでいたかもしれないわね。」 「あ…ねぇ、母さん。あの人達どうなったの?」 「……え?」 「ほら、俺を刺した人達。俺を刺した後、どうなったの?」 「……」 母さんは無言のまま、テレビをつけた。すると、ちょうどニュースの時間だった。そこには、俺を殺した彼女達が映っていた。 「あなたを刺した後、彼女達は周りの人達が通報して逮捕されたの。今裁判を行っていて、今夜に有罪判決を下されるらしいわ。」 母さんが彼女達を見る目は、鋭く…そして怖かった。こんな目をする母さん、初めて見た。 「こんな人達なんて、死刑にすればいいのに。」 「か、母さん……」 「僕も…こんな人達殺せばいいのに。」 「あ、蒼依まで…俺なら大丈夫だから……。」 二人して怖い顔をする。俺は何とか、二人の怖い顔を和らげようと話を変える。 「そ、そういえばさ…蒼依。俺が刺される前に、他の霊感体質の人達とは違う…なんてこと言ってたじゃん?あれさ、どういうこと?」 さっき言いそびれたことを聞いた。ただ単純に謎だったからだ。すると、蒼依は戸惑いながらも口を開いた。 「えっと…僕は、霊感体質…だけど…他の人よりずっと不幸なんだ。」
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