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「ねえ、ちょっといい?」  「何だよ」 「君のことが好きなんだ」  「知ってる」 「えっ」  「その続きは、俺と付き合ってください、だろ」 「何で分かるの…!? すごいや!」 「「超能力者みたい」」  「な、はいはい」 君は俺の言うこと、考えてることを全部お見通しだった。 毎日好きという気持ちが募って、溢れ出しては世界を輝かせていく。 だから、俺はついに我慢出来ずに、君に思いを伝えようと考え付いたのに。 お見通しだったなんて! それから、その日は返事も聞いてないのに恋人のように過ごした。 嫌がらずに側にいてくれる君が嬉しくって、ついついたくさんキスをしてしまう。 世界に愛というガイネンがあって良かった、そう心から思う。 明日は何をしようか、そう俺が聞くと君は興味無さげに"まずは今日だろ"とだけ、吐き捨てるように言った。 ぶっきらぼうだけど、ちゃんと話を聞いていてくれるところも愛おしい。 もっと早くに告白しとくんだったな。 「俺ね、今日のことを日記に書くよ! 毎日つけてるんだ!」 「ふーん、じゃ、これやるよ」 余ってたから、と君が差し出してくれたのは綺麗な大学ノート。 ペッッタンコな君の鞄から、すらりと取り出されたそれは、まるで魔法みたいでドキドキした。 「ありがとう…! ぜひ使わせてもらうよ!」 日が沈むまで、たっぷり2人で過ごしてから、君を家まで送って帰宅する。 いざ日記を書くために机に目をやると、たくさん見に覚えのない大学ノートがあった。 確かに気になったけど、早く君と明日を過ごしたい。貰ったばかりの真新しい大学ノートに、日記をしっかり書き込んでから本棚の大学ノートの端っこに押し込むと、ベッドに潜り込んだ。 「ふふ、早く明日がこないかなぁ…」
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