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期待を胸に秘め、いつもと同じように淡々と仕事に励む。
各部署から上げられてくる稟議書、出張の伺い書、お得意先との電話交渉…やることは山ほどあった。
浮かれてばかりはいられない。
自分のことはさておき、気持ちを切り替えて仕事に没頭した。
春が過ぎ、雨の季節になっても、元妻からの連絡は何もなかった。
そう簡単に会わせてくれる訳がない。
再度娘に会えるその日まで、芳樹は自分の生活スタイルを変えずにいようと決めていた。
娘と再会できても変えるつもりはないが、できる限りの規則正しい生活。
いつ娘が来てもおかしくないよう、その瞬間を想像しながら自分を戒めた。
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