過去

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過去

 今から10年前、まだ若かった芳樹は、次の日のことは考えずいつもの会合に付き合っていた。   その頃は課長ではなかったため、接待も仕事の一貫と割り切り、必ず最後まで付き合っていた。そんなこともあり、当時の課長からかわいがられたし、本社や他社の職員に顔を覚えてもらえた。  その日も最後に課長を見送り、自分も帰るためタクシー乗り場へ向かった。  午前0時を過ぎ、タクシー乗り場には数人の客が列を成していたが、意外と早くタクシーに乗ることができた。20分ほどで自宅アパートに到着。  料金を支払い、階段を上る。長い廊下を歩いて、鍵を開ける。  どうやら妻は起きてるようだ。 「ただいま」  一応、小声で帰宅を告げる。返事はない。
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