第2話 12月21日(金)22時20分 居酒屋・鳳鵬

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「可哀想に……そんなくだらない女に引っかかるなんて」 「え?」  低く呟かれた言葉は誰の耳にも届かず、蔵臼は「なんでもないよ」と穏やかに笑う。ふと、聖の足元にくしゃりと丸められた紙が転がっていることに気づき、身をかがめてそれを手に取った。 『こいびとがほしい』  箸袋の上をうねるミミズのような字を解読した蔵臼は、人知れず口の端を引き上げた。
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