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「どどどどうやって、ここに入ってきたんですか! ふ、不法侵入ですよ!」
「おや、サンタクロースに不法侵入は適用されるのかい?」
「あっっったりまえでしょう!」
サンタは肩をすくめながら「君はそんな夢のないことを言わないと思っていたんだがね」と言い、窓のほうを指さした。くいと指先を曲げると、鍵を閉めてあったはずの窓がカーテンとともにゆっくりと開かれる。
「どうやってここに、と聞いたね。あれで来たんだ。なかなか立派だろう?」
狭いベランダの上に、大きな深い緑色ソリが浮かんでいた。星がまたたく夜空の下で、ソリの後ろにつけられた金色の鈴がきらりと光る。
「う、うそでしょ……」
「まだ信じてもらえないかな?」
くすりと笑う自称サンタを、聖は初めてまじまじと見た。
ひどく見覚えのある顔だと思ったが、その可能性は真っ先に排除した。目鼻立ちの整った色男で、背も高く、身体つきはそれなりにがっしりとしている――いやいや、まさかそんな。
「夢、だよね、うん。あんな大きなソリが空に浮かんでいるなんて、っていうか、サンタとトナカイが家にいるとか、ありえないし……はははははは」
「まぁ、君が納得するならそれで良いが。驚かせた私も悪かったか……」
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