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僕はスッと立ち上がって呆れ顔の柏木さんに声をかけた。
「柏木さん、今日はもう帰ろっか」
「ん。聞いて損した」
二人して自分の荷物をまとめだす。
「お、おい。いいのか?負けたら美術室がとられるんだぞ?」
「知りませんよ。自分でしたことは自分で責任とってください。それにどうやって勝つというんですか?あっちが毎年売っているのは漫画、こっちは絵はがきですよ?勝てるわけないじゃないですか。しかも今年は誰も絵を描く人なんていないんです」
「まだ描いてないのか。よくそれで美術部がつとまるな」
毎日図書室通いの美術教師に言われたくない。
「漫画と絵はがきの件は大丈夫だ。今年の漫研はオリジナル漫画に加えて、キャラクター絵はがきをだすそうだ。どちらの絵はがきがよく売れるか、その売り上げ金額を競う」
なるほど、枚数ではなく金額なら、単価の設定から戦うことが出来るわけだ。しかし──
「でもダメです。漫研は認知度の高い人気キャラクターを使いますが、こっちは生徒や教師のどうでもいい絵です。勝てません」
「な!お前たちの絵は知らないが、俺の絵まで一緒にするな!」
「そんなに言うなら先生が描いたらいいじゃないですか」
「え………?嫌だよ。小村さんのとこに通いたいし……」
はあああああッ!?
「なら、小村さんをモデルにすればいいじゃないですか!」
これでどうだ!
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