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「ただ、私は見たいだけ。三坂翔太郎の次の作品を。翔太郎の見る世界を。そしてその、最後までも──」
もう震えは止まっていた。柏木さんが、僕を強く抱きしめていたから。
耳元で静かに響く。
「描いて欲しい。何も言わなくていい。伝えようとしなくていい。翔太郎の為でいい。ただ描いて、見せて欲しいの」
サンセットオレンジ。カーテンの隙間から西日が漏れる。
──ああ、不注意にも程がある。ついうっかり、君を描きたい、と思ってしまったじゃないか。
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