絵を描かない二人の美術部

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 絵を描く感覚というのは不思議だ。特に、水彩画なんてものは本当に。パレットとキャンパスの狭間の水彩の中で、全ては有か無かに還元される。その中で好きなだけを抽出し、筆を踊らせ酔いしれる。外界を遮断して新しい地図を作り誰も知らない歌を歌う。  だから、君はあながち間違っていないのかもしれない。  僕が君の手をとれなかったのもそのせいかもしれない。  あの日、確かに、僕は君を──。
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