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放課後。美術室に行くと、いつも通り柏木さんが先に一番後ろの席に座っていた。
「今日は何読んでるの、柏木さん」
「ん。『徳川家の埋蔵金のありか』」
そういうと柏木さんはすぐに本を閉じてしまった。
「けど、他のことを考えてて、全然集中できない。このままだと本に失礼」
そういうものなのか。ちょっと僕に理解できない領域だ。
柏木さんはそのまま本を片付けて、鞄から黒いソレを取り出した。
「一眼レフ………?」
「千夏が貸してくれた。なかなか粋なものを持ってる………!」
フンッと荒く鼻をならす柏木さん。その目はキラキラと輝いている。
「何に使うの?」
まあ、大体想像はつくけれど。
柏木さんは勢いよく立ち上がって、僕をパシャリと一枚撮った。
「ん、今日は絵、何描くか決める。そのために候補をたくさん写真撮る!」
柏木さんはもう一度、フンッと荒く鼻をならした。
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