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「レリア……こんな時にふざけないで」
「あん? 出てこねぇか? ならあたしが決めてやる。コンビ名は……ポニーテール・スイート・ハート」
「チアリーダーか」
比奈がボソッと言った。
二人が言い合っている間に、着ていた黒のモッズコートを脱がされ、黒のロングTシャツ姿になって、テーブルの上に無理やり腕を組まされている東。
手の大きさ、腕の太さ。
こうやって組んでみるとわかるが、東の腕は白く、毛が少ないせいか女性の腕のようだ。
「面倒なルール無しだ。ただ相手の手をテーブルにつければいい」
ツーブロックの男は余裕の笑みを浮かべて言った。
負けるわけがない――顔にそう書いてあるようだ。
対する東は、とても自信がなさそうな顔をしている。
「レディー……ゴー!」
審判役男が、二人の右手を握りながら叫んだ。
スタートし、東は力を込めるが、ツーブロックの男の腕はまったく動かない。
ニヤニヤしながら東を見つめるツーブロックの男は言う。
「なんだ? これで本気かよ? 弱すぎんだろ」
東が歯を食いしばる。
しかし、相手の腕はまったく動かない。
そして、ツーブロックの男が力を入れ、すぐに勝負がついた。
わかりきっていたことだが、東は負けた。
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