第14話 能面尻尾女と二丁拳銃のブロンド

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第14話 能面尻尾女と二丁拳銃のブロンド

続いて二回目の勝負が行われたが、当然東が負けた。 ツーブロックの男がヘラヘラと言う。 「兄ちゃんよぉ、女連れの色男は普段から鍛えてなきゃダメだぜ。俺みてぇな悪い奴とやりあうのに、そんな細腕じゃ守れねぇからな」 ツーブロックの男のセリフに、店内にいる韓国人たちが笑い始めた。 腕相撲で叩きつけられた東の手の甲が、痛々しく赤く腫れている。 東は、その手を見て、(うつむ)いたまま何も言わずにいた。 そんな空気の中、アウレリアはヘラヘラしながらその状況を見ている。 「ありゃりゃ、こりゃマジであたしら素っ裸にされちまうぜ」 そう言い、グラスを手にとって飲むアウレリア。 「あなた……どういうつもり?」 比奈がアウレリアに訊くと、アウレリアは軽薄(けいはく)な態度を変えずに、二杯目のバカルディを注文した。 さっきと同じロックだ。 そして、それを口に流し込みながら言う。 「おいおい比奈、状況はクソッタレだが、せっかく飲んでんだぜ? もっと楽しもうじゃねぇか」 「こんな時に楽しもうって言う、あなたの神経を疑うわ」 「そんなティファールケルトみたく熱くなるなよ処女(ヴァージン)。人生は楽しまなきゃ損だ」     
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