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「加藤比奈は殺す。もし止めたいなら俺に勝ってみろよ。そしたら手は出さないでおいてやる」
東をじっと睨みつけながら言うツーブロックの男。
そして勝負が始まる。
「レディー……ゴー!」
先ほどと同じように、審判役の男が二人の右手を握って叫んだ。
東は力を込める――が、ツーブロックの男の腕はやはり動かない。
東を睨みながらツーブロックの男は言う。
「俺に勝てなきゃ加藤比奈は死ぬ。てめぇの非力さを悔やむんだな」
歯を食いしばる東――だが、やはり動かない。
ツーブロックの男が、思いっきり力を込めて終わらそうとしたその時――。
「うぎゃぁ!!」
ツーブロックの男が、急に仰け反り、大きな声を出した。
その隙に東は、男の腕をテーブルに叩きつける。
東は、左手の親指でツーブロックの男の右目を潰そうとしたのだ。
そうして怯んでいる間に勝負をつけた。
「躊躇なしかよ!! 惚れるぅ~!!!」
アウレリアが歓喜の声を上げて叫んだ。
「てめぇ!! 汚ねぇマネしやがって!!!」
負けたツーブロックの男が、立ち上がって、懐から拳銃を出して東へ向けた。
韓国産の自動拳銃、K5・民間型DP51だ。
だが、いつの間にアウレリアがツーブロックの男に拳銃を向けている。
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