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そう言うとアウレリアは、比奈の方へ向かっていった。
東は、何のことかよくわからないまま、アウレリアと同じように比奈の方へ。
比奈が二人に耳打ちする。
「情報屋とはあたしが話をするから、二人は黙っていて」
東は普通に頷き、アウレリアは無愛想に返事をした。
九能が言う。
「さて行きますか」
三人とも九能について行き、奥にあった個室に入っていく。
部屋には柔らかそうなソファと低いテーブルが並んでいて、意外と広く七~八人は入れそうだ。
「まぁ適当に座ってください。もうすぐお酒と食事も来ますから」
九能は、左側のソファに腰を下ろして三人に言った。
そして三人は、九能と反対の右側のソファに腰を下ろした。
コンコンコン。
扉からノックが聞こえ、九能が入るように言うと、先ほどの中年の店員と若い店員二人が、トレイにアルコールと四人分の鉄製ステーキ皿を持って現れた。
ドリンクは、バドワイザー、バカルディ、コークハイ。
九能は、ビンのミネラルウォーターだ。
「鉄板が熱くなっているので、気をつけてください」
比奈が声をかけた時は、無愛想だった中年の店員が、ナイフとフォーク、個別包装のウェットティッシュを置きながら礼儀正しく言った。
比奈は思う。
……わかりやすい奴だな。
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