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「どういう風の吹き回し? こんな素直に話そうとするなんてあなたらしくないじゃない?」
「やれやれ、相変わらず疑り深いと言うか、用心深いというか」
「あなた相手に、石橋を叩き過ぎるなんてことはない」
九能は、ヘラヘラとまたフォークでジャガイモを食べる。
そして、グラスに入ったミネラルウォーターを、また一口飲んでから言う。
「こっちにも都合がありましてね。これ以上荒川さんに暴れてもらうと非常に困るんですよ」
「困る? 何のこと?」
「それはあなたに関係のない話だ」
そう言われた比奈は、何も言えずに黙った。
それから九能は、カフェビアンキを襲った人間と、その人物がどこにいるかを説明した。
そして、それに付け加えるように続ける。
「そうだ。あの子を覚えてますか? ほら、闇ウェブの管理人だった子。あの子のサイトから大量の銃器とアッパー系のドラックがやりとりされていましたが、おそらく荒川氏じゃないかな」
「それって睦月くんの……。それに荒川さんが銃器とドラック……?」
無表情だった比奈の顔が歪む。
「もしかしたら、今日のお昼にでも届いているかもしれませんね」
「じゃあ、荒川さんは……」
そういった比奈の顔は、何かに気がついたようだった。
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