56人が本棚に入れています
本棚に追加
第17話 ココアの包容力
セーフハウスから赤坂にある半蔵の家へ、逃げ込んだ真奈美と桐花とスーロンの三人。
半蔵の家は、月六.五万円、赤坂駅から徒歩六分のところにあるホテル四階の一室だ。
鉄骨鉄筋のワンルーム、約5帖専有面積13.80m2。
一階にはロビーがあり、常に人がいて、各階への移動は主にエレベーター、それに防犯カメラもついている。
「どうしてこんなにセキュリティーがしっかりしたところに住んでいるの?」
桐花が訊いた。
半蔵は、サングラスの位置を直しながら答える(半蔵は、部屋に入ってもサングラスを取らなかった)。
「一瞬の油断が一生のケガになることもある。それに……」
「それに?」
首を傾げてオウム返しする桐花。
スーロンが、それをマネして同じように首を傾げている。
半蔵は、そんな二人を見ながら言う。
「ホテルの一室に住んでいるというのはクールだろう」
桐花は思う。
……やっぱ変な人。
ただのバーテンダーなのに、そんなに警戒する必要ないじゃないの。
まぁ、そのおかげで助かっているけど。
半蔵は、何か暖かいものを、と言うとキッチンへ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!