第17話 ココアの包容力

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第17話 ココアの包容力

セーフハウスから赤坂にある半蔵の家へ、逃げ込んだ真奈美と桐花とスーロンの三人。 半蔵の家は、月六.五万円、赤坂駅から徒歩六分のところにあるホテル四階の一室だ。 鉄骨鉄筋のワンルーム、約5帖専有面積13.80m2。 一階にはロビーがあり、常に人がいて、各階への移動は主にエレベーター、それに防犯カメラもついている。 「どうしてこんなにセキュリティーがしっかりしたところに住んでいるの?」 桐花が訊いた。 半蔵は、サングラスの位置を直しながら答える(半蔵は、部屋に入ってもサングラスを取らなかった)。 「一瞬の油断が一生のケガになることもある。それに……」 「それに?」 首を(かし)げてオウム返しする桐花。 スーロンが、それをマネして同じように首を傾げている。 半蔵は、そんな二人を見ながら言う。 「ホテルの一室に住んでいるというのはクールだろう」 桐花は思う。 ……やっぱ変な人。 ただのバーテンダーなのに、そんなに警戒する必要ないじゃないの。 まぁ、そのおかげで助かっているけど。 半蔵は、何か暖かいものを、と言うとキッチンへ向かった。     
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