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二人が話していると、ベットで寝ていた真奈美が目を覚ました。
真奈美は体を起こして、立ち上がろうとすると、半蔵がそれを支える。
半蔵は、無理をせずまだ寝ているようにいうが、真奈美はもう大丈夫と返す。
真奈美がテーブルにつくと、半蔵は、自分の口をつけていないココアを渡した。
「ありがと、半蔵ちゃん。……変なことに巻き込んじゃったのに、相変わらず優しいね」
真奈美の顔に笑みがこぼれる。
半蔵は穏やかな笑みを浮かべて返す。
「日々の生活には、大事なことが三つある。一つ目は優しくあること。二つ目も優しくあること。そして三つ目も優しくあることだ」
「今度はヘンリー・ジェイムズか……」
桐花が少し呆れた様子で言った。
半蔵は桐花に言う。
「ヘンリー・ジェイムズは、たしかアメリカの出身だったと思ったが?」
「生まれがアメリカでも、活躍していた国はイギリスよ。だからこそ彼の作品は英米文学と呼ばれているの」
半蔵は、桐花に軽く頭を下げる。
真奈美とスーロンがそれを見て笑っていると、真奈美のスマートフォンが震え出した。
真奈美が電話に出る。
どうやら電話の相手は比奈のようだ。
「うん、こっちは大丈夫だよ。えっ!? 相模原に荒川さんが?」
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