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『亡くなったのは、○○中学校の生徒――さんと見られ。左胸から腹部まで大きく裂かれており、発見時には既に死亡していました。また、高台へ向かう林道でも、複数の遺体が発見され、同中学の同級生――君と――』
絶句した。僕は末端神経が痺れる感覚に襲われた。まさか、あいつら――。
「だから、言ったのにね」
「……母さん」
銀のお玉を持ったまま、それまで無言だった母さんが振り向きもせず言った。
後ろ姿しか分からないが、その声は怯えを含んでいた。
「肝試しだなんて、昨晩は新月だから止めときなさいって……言ったのにね」
――そうだ。出掛けるか迷った僕は、母さんに肝試しの事を話したのだ。流石に中学生が深夜に出歩く事は非常識だと分かっていたので、親の許可が必要だと思って。
そうしたら――、
『今夜は新月だから、出歩くのは止めなさい。月影が居るわよ――』
「だから、僕は行かなかったんだ。それなのにあいつら……あの娘まで――」
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