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 ――暑い。クソ暑い。  夏の日照りは容赦なく肌を焼いた。近年地球温暖化やらオゾン層破壊やらで、紫外線が昔より強いと聞いた。だから日焼け止めを塗りたくったのだが、とても守ってくれている様には思えなかった。  木造建築の古めかしい平屋から道を下ること数分、周囲は青々とした林、ストレスなく育っているであろう背の高い雑草が生い(しげ)っていた。  多種多様な蝉の声が(うるさ)くて、踊る様に飛ぶ小虫達が鬱陶しくて、僕は外に出たことを早々に後悔した。  ――暑い。暑すぎる。  相変わらず暑さに語彙力を奪われたまま、数メートル先に"氷"の小旗(こばた)が見えた。丁度いい、あそこで休憩を取ろう。 「こんにちはー」 「はいはい、こんにちは。暑いのに元気ねぇ」 「ええ、まぁ……」  出迎えてくれたのは、この店を何十年もの間一人で切り盛りしてきたお婆ちゃん。こう見えて、村人の顔を全員覚えているというのだから驚きだ。 「さぁさ、そんな所にいないで、店内にいらっしゃい。暑いでしょう?」  僕の部屋程ではないが、クーラーが効いた部屋は表より大分マシだ。  昔ながらの駄菓子屋は、中学生になった今でも宝の山だ。
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