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「助けて下さい鳥飼先輩」
余程凄い顔をしていたのだろう。会社で出会い頭にそう言った私の顔をまじまじと見た先輩は、とりあえず人のいない場所にそっと移動してくれた。
「どうしたの。そういえばあれから王子君と上手くいってるの」
「一応告白しました」
「わーお、ちょっと予想外。おめでとう、付き合い始めたんだよね?」
「いや、むしろもうどこかに隠れたいんですけどどこに行けばルイスから逃げられるかわからなくて。人がいないような秘境に行っても衛星とかで発見されそうな勢いなんですけどどうなってるんですか」
「落ち着いて、何で逃げるのよ。え、両思いなんだよね?」
「告白したら! なんか今まで以上に! 凄くなったんですよおおおおおお!」
マジで涙が出てきた。その様子にさすがにビビッたらしい先輩は慌ててティッシュを差し出してくる。
「朝起きたら抱きつかれてたんで、その場の雰囲気とかノリで好きだって言ったんですよ」
「ロマンチックね、まだ現時点では」
「そしたら何も言わずぎゅってしてきたんですよ」
「いちゃいちゃだね、まだ現時点では」
「私の関節がバキっていいました」
「あっ、違うこれ甘い雰囲気じゃないわ大惨事な予感。この間の私のドアドンみたい」
「あの馬鹿力、嬉しさのあまり手加減なしにですよ!? 足と肩がバキっていって私が悲鳴あげて朝っぱらから大騒ぎで大変でしたよ!? 甘さもクソもなく漂うのは私の体に貼られた湿布のニオイですよ!」
私はあのまま絞め殺されるかと思った。何より怖いのはルイスがごめんごめんと謝っている割に幸せそうにニコニコ笑っていることだ。嬉しかったのはわかる、幸せなのもわかるがこっちは正直ヘヴィ過ぎて複雑だ、まだ肩は痛い。
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