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「…………ここ、どこ?」
彼女が問いかけてきた。
頭が真っ白になっていた私は、戸惑いながらも、こう答えた。
「ひ、秘密基地?」
「秘密基地?秘密基地ってなに?」
「え、えーっとね……」
そこから、私も覚えたてホヤホヤの知識『秘密基地』を一生懸命説明した。
のちに、彼女はこう言った。
「あの時、一生懸命説明してくれる未來を見てて、この子悪い子じゃないんだなぁって思ったんだよねー」
と、ふわふわ笑いながら。
彼女がそんなことを思っているなんてつゆ知らず、私は、覚えたてホヤホヤの『秘密基地』をどうしよう、どうしよう、と思いながらひたすら説明していた。
「………っていうものなんだ」
「へー……すごいね、頭いいんだね」
「え、なんで?」
「だってー、そんな難しそうなこと知ってるんだもん。未來ちゃんって頭いんだよ、きっと」
ニコニコしながら近くの落ち葉で遊び始めた彼女は、今思えば物凄い神経だったと思う。
私がひたすらに首を傾げていると、どこからか大好きな恵子先生の声が聞こえた。
「未來ちゃーん、紅葉ちゃーん!どこにいるのー?出ておいでー」
その声が聞こえると、彼女ーー紅葉はすっと立ち上がり、くるっとこちらを向いた。
「ねぇ、未來ちゃん。ちょっとだけ、いたずらしない?」
うっすらとした記憶だったが、その時の紅葉は完璧にいたずらっ子の顔をしていた。いたずら大好きの私は、すぐさま立ち上がり、
「ちょっとじゃなくて、いっぱいやろうよ!」
と言った。
紅葉は、ちょっとだけ微笑んでから、「こっち」と言って私の手を引いた。
なんで隠れ場所知ってるの、とかなんで私の名前知ってたの、とか聞けば良かったんだろうけど聞かなかった。
ちなみに、しばらくしてから怒ると怖い加奈先生に見つかって、たっぷりと怒られた。それからは、いたずらをあんまりしなくなった。
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