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「はい、お休みいません」
先生のその合図で、日直は次に移る。
「次、先生の話、先生お願いします」
「はい!」
教室の端っこにある先生の机から立ち上がり、教卓に立つ。
「えーと、今日も寒いねー。昨日なんて雪降っちゃったからねー!」
そう、昨日は関東にしては珍しく、雪が降ったのだ。
「昨日めっちゃやばかったよな!」
「めっちゃ雪だるま作ったー!」
雪に飢えた私たちは、やっぱり雪が降ると嬉しいもので。昨日は、クラスの女子ほとんどの人が唯一の広場に集まって雪合戦やらかまくら作りやらを楽しんだ。私たち(私、紅葉、瑞樹)は三人で一つの雪だるまを作ったり、自分のパーツを作り終わった私が作ったかまくらのなかにぎゅうぎゅう詰めで入ったりしていた。瑞樹がみんなと遊びに行った時は、かまくらの中で隠れてキスしたりしていた。そのことを思い出して、顔が熱くなった気がするがほっておく。
ひとしきりみんなの雪の日話を聞いたところで、先生が切り出した。
「遊ぶのもいいですが、冬休みのワークは配られましたよね?」
みんなの顔が固まるのがわかる。あー、これはみんなやってないな?
「竹内さん以外の全員の顔が固まってるんですが」
え、嘘。
振り返ると、固まるみんなの顔。
いや、まぁ、この人たちが終わってないのは理解できてるんだよ、うん。だって、終わらせてるわけないし。
チラッと横を見ると、これまた固まっている方々が。まさか、と思いつつ、紅葉の方を見ると…………案の定。
変な顔をしながら固まっている紅葉。
「…………竹内さんはちゃんと計画的にやってるようですね。チラッとワークを見せてもらいましたが、あと2ページで全て終わるそうです」
はー?神かよー!という男子の声が聞こえてくる。
「っつーか、未來が早すぎるだけっすよー!俺らそんな早くできないもん」
柔道部所属、山口空が大声で言う。
「そうそう!だって未來って大体学年10位以内じゃんか、それについていくのは無理だよー!」
バトミンドン部、福田櫂が空に乗る。
「くっそー!負けた!俺あと5ページだったのにー!」
タイガがグリコのポーズをしながら叫ぶ。
「なんでそんなポーズしてんだよ!」
と、野球部管野からツッコミが入り、みんな爆笑。
「はいはい、うるさいよー」
郁美先生がみんなを宥めて、静かになる教室。
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