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力強い言葉が返ってきた事に私は嬉しくなった。
「じゃあ、今から友達ね。 私はなお。月乃宮なお。よろしくね!」
私は立ち上がって、もう一度白い子の前に屈んで視線を合わせた。
「呼び名が欲しいね。呼び名なら別にいいよね?」
「はい。大丈夫だと思います。」
私は小さな白い子をまじまじと見て考えてみた。
(適当に名前つけちゃうか。シロ…タマ…犬や猫みたいだし、ひねりがないなぁ~ん~そだ!)
「モカ!」
私はこっちを見ている白いその子に言い放った。
「どう? 気に入らないかな? 可愛いと思うんだけど。」
びっくりしてちょっと萎縮したようにみえる,その子は困惑しながら
「ん~うん。はい!そうしましょう。」
嬉しそうに腕を伸ばしている。
「ねぇ、モカ。私は今日の朝、この世界に来たの。」
私は昨日までの世界と、朝からの出来事をモカに話した。小さい最初の友達に、意見とか助けてほしいとか、そんな気持ちで話してるんではなく、ただこの世界が夢とかじゃなくて、私の中で本当の世界であってほしいような。
なんか不安な気持ちをちょっと落ち着かしたいって思うところもあって、私はモカに語りかけていた。
「なおさんの世界ってどんなところだろ~行ってみたいです。」
モカは私の話を信じてくれてゆらゆらと体を震わしていた。うきうきしてるって感じに見えた。
「聞いた話ですが、異界へ行く魔法があって実際に行った魔法士がいるって。でも、ものすごい魔力がいるから誰でもって訳にはいかないみたいです。」
モカは立ち上がり(ちょっと足元が浮いたように見えるだけなんだけど。)
「月の王宮にいるルミナ様なら出来るかもです。」
私はモカを両手で抱き上げた。
「モカ。ありがとね。」
私は、私の事を信じて心配してくれているモカがとても大切なものになっていた。
今日初めて心から笑っている自分に、嬉しくなっていた。
「モカ、私にこの世界のこと教えてくれない? さっきのルミナ様って人のことや、いろんなこと。」
ぐぅううう。
私はモカの柔らかい毛と暖かい温もりを感じながら…お腹が鳴った。
モカが目を丸くしている。(もともと丸いんだけどね)
「お腹すいたね。」
「僕もです。」
そういって私たちは笑っていた。
モカと私は遺跡を出ておじさんとおばさんのいる家に向かっていた。モカは私の肩の上辺りをふわふわと浮かんでいる。
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