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「手紙には二人の事を書いておいたから、直接会って話を聴くといいだろう。」
ちょっと不安になったけど、私はモカと一緒に出かけることが嬉しくて、はい。と返事をした。
(モカもルミナ様って人の事知ってたし、大丈夫だね。)
モカも嬉しそうにクッキーを食べていた。
王宮のある都市はここから4時間くらい歩いた場所のオルトリアスって言う名前で、賑やかで活気に溢れているとのこと。
私は太陽がすでに落ちて暗くなった外を寝室の窓からモカと二人で見ていた。モカは頭に乗っている。
窓から見える景色は夜の森と家のすぐ隣にある湖だったけど、月明かりに照らされた湖の水面が眩しい程にキラキラと輝いていた。
そして夜なのに結構明るいのが気になって私は月を探してみた。
(満月なのかな? …うわ!)
「月、まぶしすぎ~」
円に近い形の月は野球場の照明みたいに白く光っている。
「こっちの月って明るいのね。」
「なおの世界の月は光ってないのです?」
私とモカはそれぞれの月の話をした。
モカの話によると月の光も魔力の源になっていて、そして月の王宮の隣にある銀礼の神殿と呼ばれる場所がなんか魔術的な施設になっているらしい。
「じゃあ。…太陽の方も同じような感じなの?」
モカは「うん。」 と答えて太陽は同じオルトリアスの中にある光の塔が関係してるって教えてくれた。
私は慣れない世界の常識というものを自分の常識として少しずつ吸収していく事がなにか楽しくなっていた。
「モカ。明日から一緒だね。」
突然異世界にきて、昨日までの悩みがとても小さな事なんだったんだなあ~。と感じた私は明日からの想いに胸が一杯になっていた。
「ねぇ。モカって歳いくつなの?」
「人の時間で言うと8年くらいです。」
(あっ、そっか。こっちの世界って私の世界と時間の流れ方って違うのかな? こっちの10日って元の世界のどれくらいなんだろう…学校、休みになってるのかな……)
授業の事やテストの事が頭を過ぎったけどモカを見て私は頭を左右に振って元に戻した。
「モカはどうしてあそこに落ちてきたの?」
私はまだモカの事を何も知らなかった。
「僕達の住んでいる所は精霊界って言って、この世界と交わる別世界になるのです。ほかにも魔族がすむ魔界、神族が住む天界があって、それぞれこの人界を中心に繋がっているのです。」
私は頭の中に天国や地獄みたいな世界を思い浮かべていた。
「…僕は、精霊界にいるのが嫌になって飛び出してきたのです。」
「えっ? それって家出?」
モカは頭の上でもじもじしている
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