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「はい。あります。」
モカを抱いた私はナムルさんの後をついていく。大きな木の扉を開けて中へと入っていった。
沢山の本が棚に収められている書斎室のような部屋だった。
真ん中の広場みたいなところににテーブルがある。
バスケットボールくらいの大きい水晶玉がテーブルの上にあるのが見えた。
「この水晶と記石を使って見ましょうか。」
壁の模様かと思っていたら1面引き出しになっている棚だった。ナルムさんは小さな引き出しを開け緑の石を取り出して私に見せてくれた。
台座に乗っている水晶。その水晶の真下にあるくぼみに石を置いた瞬間、水晶の中に映像が写し出された。
「なお~。すごいです。」
「だね。 これも魔法の力なんだ。」
私とモカは映し出された映像を見ながら喜んでいた。
ナムルさんがそんな私達にゆっくりと話を始めた。
「この映像は学業のために作ったもので、神々の時代の伝説をわかり易くしてあるのよ。それじゃ始めますよ。」
ナムルさんが水晶に手をかざした。
水晶の映像が動きだしたと同時に、女性の声も水晶から流れてきた。
二つの神だけが存在する世界で創造する快楽に目覚めた太陽神ゲル・月の女神レナ。
太陽神ゲルが大地を創ると月の女神レナが水を創った。
太陽神ゲルが火の精霊バルードルと大地の精霊ムーロンを創り、大地を赤く鼓動させた。
それを見た月の女神レナが水の精霊リエムを創り、水の中を泳がして水球を作った。
水球を見た太陽神ゲルが風の精霊ルーエを創り、大地を回して球体を作らした。
月の女神レナが、大地の影から闇の精霊オーレンをつくった。
闇の精霊オーレンは大地を侵略しはじめる。
太陽神ゲルと月の女神レナは闇の精霊オーレンを抑制するために自分たちの分身を創る。
光の精霊ルゲルと月の精霊ミレナは闇の精霊を抑えるため大地に水球をぶつけた。
闇の精霊は水に囲まれて動けなくなり、溶けていった。
太陽の神ゲルと月の女神レナは混ざった大地を見て、一緒に創る喜びに目覚めた。
大地と水で木を、火と水で空を創った。
そして火・大地・風・水の精霊の破片から生命を創った。
破片の量で、聖獣・妖精・動物と沢山の種類が生まれていった。
最後に二人の神は、人間を創った。
ところが人間を創る際に闇の精霊が混ざってしまった。
人間から闇の精霊を取り出すため二人の神は世界を分けることにした。
まず最初に聖獣と精霊の世界を創った。今の精霊界と呼ばれるところである。
そして人間から闇の精霊を取り出して閉じ込める世界を創った。人は魔界と呼んだ。
最後に力を使いすぎた太陽神ゼルと月の女神レナは天界を創り深き眠りへと入っていった。
そして大地には人間と動物だけとなった。
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